『ラーマーヤナ』映画化続報

 一方、『ラーマーヤナ』の映画化である。


 こちらもより具体的に書かれている。

Q:あなたの『ラーマーヤナ』は映画化されるのですか。


A:される。私の『ラーマーヤナ』の大がかりな映画化が現在進められていると、ようやくはっきり言えるようになった。ここ数年の間に、私は本格的な映画化の提案を何本も受けた。その中には、ワーナー・ブラザーズ、サー・ベン・キングスレイ・ピクチャーズ、マイケル・ラドフォード&クリス・ローズ、フューチャー・グループ、キャニオン・エンタテインメント、エンデヴァー・エージェンシー、ウィリアム・モリス・エージェンシー、アドラブズ・フィルム、ILM 関係者、ニュー・ライン・シネマ、『300』の監督とプロデューサー、といった人びとがいる。いずれも私の本の熱狂的なファンであることを表明した。私はついにある了解覚書に署名し、最初の映画が製作準備中だ。制作は2008年中に始まる。キャストとスタッフについては、現時点では確定的なことは言えないが、大物が何人かあてられていることは承知している。映画はハリウッドのメジャー作品であり、三部作で、予算総計は5億ドルを優に超える。


サー・ベン・キングスレイは1982年『ガンディー』でアカデミー主演男優賞を受けたインド系イギリス人。


マイケル・ラドフォードはインド生まれのイギリス人監督。


フューチャー・グループはおそらくインドの一大流通産業グループのこと。


キャニオン・エンタテインメントもインドの映画・娯楽企業。


エンデヴァーウィリアム・モリスはハリウッドの五大タレント・エージェントの一角。
エンデヴァーは渡辺謙をクライアントに持つ。


アドラブズ・フィルムは映画を中心としたインド最大の娯楽産業財閥。


ILMジョージ・ルーカス率いる特殊撮影スタジオとして有名。


ニュー・ライン・シネマはもちろん『指輪物語』を映画化し、今度は『ホビット』制作を発表している。


『300』ペルシア戦争の有名なテルモピレーの戦いを題材にしたフランク・ミラーのグラフィック・ノヴェルを映画化したもの。


 念のために書いておくと、著者が覚書をかわしたのは
ここに名前があがっている人びとではないわけだ。
もっとも、これから作られる映画にこの人たちが関係しない
というわけでもないだろう。
サー・ベン・キングスレイがヴィシュワーミトラを演じたり、
ILM が特殊技術を担当したり、
エンデヴァーやウィリアム・モリスのクライアントが出演したり
する可能性はある。


 三部作ということは
原作2冊ずつが1本の映画になるのか。
それとも最初の3冊が3本になるのか。


 常識的には前者だろう。
実際、この6冊は2冊ずつの三部作としても読める。
昨年夏にインド国内だけで出たハードカヴァー版は三分冊である。
この場合第1部はミティラーでの戦いがクライマックスとなる。
第2部は追放されたラーマたちと羅刹の死闘からハヌマンの軍勢が立つまで。
そして第3部はランカーを撹乱するハヌマンの活躍と最終決戦。


 第3部を埋めつくす知恵ある猿ヴァナール族や熊族はCGになるのだろうが、
ヴァナールの一部、ハヌマンや猿族の王スグリーヴァ、
それに最終決戦で羅刹の指揮官のひとりとタイマンをはって
強烈な印象を残すヴァナールの女族長マンダラ・デーヴィーなどは
俳優が演ずるはずだ。


 この1対1の対決は全篇を通じて最もすさまじい格闘といってもいいが、
はたして映画の中できちんと描かれるか。


 熊の王はCGにするにはもったいない役どころだが、
姿はまったくの熊そのままだから、
俳優は声だけの出演になるのだろう。


 同様なことは羅刹をはじめとするラーヴァナ側にも言える。


 もともとぼくは小説の映画化は好きでなく、
『指輪』すら見ていないし、見る気もないのだが、
こればかりは思わずこんなことを考えてしまう。