2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

男どもよ

曇って寒い日。洗濯物が乾かないよー。 『樹海の妖魔』上巻再校ゲラの素読み。 時間がないので再校は白ゲラ、 つまり校正の赤が入っていない状態で素読みをすることになった。 しかも特急。 ふと眼にとまった一節。 その瞬間、 シーターにはわかった。 どん…

父親

父親にとって最もしあわせなことは何か。 人間としてでもなく、 男としてでもなく、 父親として、です。 ひとつの答えは、 最高の子どもを持つこと。 息子でも娘でも、どちらでもかまいません。 父親にとっては、子どもが「りっぱ」に育つことが重要です。 …

梵仙

『ラーマーヤナ』前半には ヴァシシュタとヴィシュワーミトラの 二人の梵仙がメイン・キャラとして活躍します。 この二人のうち、ヴィシュワーミトラは なかなか面白いキャラクターです。 そして『ラーマーヤナ』が、 「原典」のヴァールミーキ以来、 ラーマ…

原文に還る。

『樹海の妖魔』冒頭の1章の訳が固すぎる とのクレームが編集から出て、 ここだけ新たにやりなおし。 原文は美しい文章ですが、 往々にして美しい原文は日本語にしにくい。 原文の美しさに眼がくらんでしまうと、 日本語がおかしくなります。 日本語ばかりを…

正義の傷

今にも雨が降りそうで寒い日曜日。 こういう日こそ外に出るとおもしろい。 こういう日でも出ている人びとは、 相応の理由を背負っているからです。 その人びとを見ていると、 そこはかとなく親近感がわいてきます。 あなたも仲間だと 抱きしめたくなります。…

星空

昨夜は遅くなり、タクシーを降りて見あげると オリオンとシリウスが南の空にかかっていました。 あの星々が美しく輝きだすと、寒くなります。 そういえば、『ラーマーヤナ』では あまり星空は出てきません。 占星術は古くからあり、 物語の中でも何度か話に…

「資料集」

明け方はまだ曇っていましたが、 陽が昇るにつれて青空が広がり、 柔らかなひかりが射してきました。 アショーカ版『ラーマーヤナ』の 英国版(インド以外の全世界で流通している版)には 各巻の巻末に "Glossary" が付いています。 本文中にたくさん使われ…

アヒンサー

曇って気温が上がりません。 これでまた紅葉が進むでしょうか。 先ほど、『樹海の妖魔(仮)』下巻の初校ゲラを 宅急便で送りだしました。 明日、午前中には着くでしょう。 ガンディーがインド独立運動の原理として 採用した「アヒンサー」は、 本来ヒンドゥ…

初校ゲラ

ようやく、初校ゲラのチェックが一通り終わりました。 こちらだけでは解決できない疑問点を整理して、 著者にメールします。 ふつうなら今日中には回答が来るでしょう。 それを踏まえて、ゲラを修正し、明日には発送。 なんとか週内に編集担当にもどせそうで…

菩提樹

インドの話を翻訳していて 困ることのひとつは、 動植物の名前である。 われわれにはなじみがないものがほとんどなのだ。 これが欧米のものだと、 小説などの文章以外に、 われわれは様々な形でその文物に日常的に触れている。 日本にはふつういないものでも…

ガンダルヴァ

同じものが様々な違う名前で呼ばれるのは 『ラーマーヤナ』をはじめとする インドの神話・伝説ではごく普通だが、 同じ名前がほぼ反対のものを指すこともある。 アショーカ版では「ガンダルヴァ」は 本来の意味である「天の楽士」とともに、 阿修羅(あすら…

マンタラーとカウサリヤー

『樹海の妖魔(仮)』 第二部「奪われた人びと」の最後で、 カウサリヤーはコーサラの摂政となり、 マンタラーは最後を迎える。 アショーカ版『ラーマーヤナ』前半三篇は ラーマの物語というよりは、 女たちの物語ではある。 かたやカウサリヤー、 スミトラ…

ルビ

アショーカは 英語で『ラーマーヤナ』を書いているわけだが、 その中にサンスクリット語やヒンディー語の 名詞やフレーズが頻繁に使われる。 欧米の小説で言えば ラテン語やギリシア語を使うのに近い。 英語では正確な対応物がなかったり、 物語に独特の雰囲…

小説に説明はいらない。

『樹海の妖魔(仮)』初校ゲラで 編集校閲から出たいくつかの疑問点を著者に質問したら、 熟考の上、 これらはそのままにしてくれとの返事。 たとえば、第一部「平和」の前半で、 ミティラーでの婚礼を終えたラーマたちの一行が アヨーディヤーに入って市民…

法の刃(やいば)

『樹海の妖魔(仮)』第二部「奪われた人びと」5章、初校ゲラで上巻322ページ 法の刃(やいば)を おのれの私利私欲のためにふるう者は、 いくばくもなくして、 同じ刃を 自ら受けることになりますぞ。

文語コンプレックスから物語のネットワークへ

文語に対するコンプレックスがある。 原文がちょっと古風な言回しだと たちまち気どって 文語をふりまわす。 が、実際には正確な文語が使えるわけもない。 『樹海の妖魔(仮)』冒頭に登場する 斧を持った婆羅門パラシュラーマのセリフの文体をどうするか 悩…

血と塵と灰

『ラーマーヤナ』に「主張」があるとすれば、唯ひとつ、これだろう。 『樹海の妖魔(仮)』第一部「平和」19章、初校ゲラでは210pp. その瞬間だった。 同じような瞬間には人生で何度となく向きあってきたが、 中でも最悪のこの瞬間、 自分はここで死ぬ、 戦…

エキゾティズム

ゲラに赤字を入れる作業は楽しい、 というのは他人の原稿やゲラが相手の時である。 自分の原稿に入れられた赤字を点検するのは、 身を切られるのに等しい。 さんざん悩み、 原文と格闘し、 ネットを駆使して調べまくり、 ようやっとひねり出した訳文に、 「…

ゲラの校正

作業は『樹海の妖魔(仮)』上巻初校ゲラ続き。 坦々と、 ひたすら坦々と、 入っている赤字を確認し、 これはOK、 これはこういう風に修正、 としていしてゆく。 時に ちゃうちゃう、それはあんたの勘違いじゃ、 いや、そうじゃない、こちらの意図はこうな…

オマージュ 『樹海の妖魔(仮)』第2部「奪われた人びと」と、 巻末資料集のゲラが届く。 尻を叩かれている気分。 もちろんこのタイトルはル・グィンへのオマージュ。 ちなみにこの『樹海の妖魔(仮)』で 各部のタイトルに使われている作品4点のうち、 邦…

「パンディタ」と「プローヒタ」

午後も遅くなると多少雲も出るが、 朝から昼過ぎまでは 一点の雲一つない快晴 が続いている。 息子は登校拒否になるわ、 かみさんはぎっくり腰だわ、 娘は親をばかにして言うことは聞かないわ、 でなかなか作業に集中できない。 こういう時はあせらず、あわ…

著者への問合せ

今朝も一点の雲一つない快晴。 その代わり、かなり冷えこんだ。 車のフロントガラスも一面に結露。 『樹海の妖魔(仮)』上巻の初校ゲラの赤をひととおり見て、 ぼくだけでは解決できない矛盾点を整理して著者にメール。 原文に残っている矛盾点は 読んでい…

シーターとジャナカ

朝は一点の雲一つなく晴れていた。 いつの間にか雲がでたと思うと またさんさんと陽光が降りそそぐ。 作業は『樹海の妖魔(仮)』上巻初稿ゲラの校正。 読者からの質問に、シーターはジャナカの娘のはずだが、 それとは矛盾する記述がある、 というのがあっ…

モチーフ

今朝は雨が降って肌寒かったのが、陽が出てきたら少し暖かくなった。 と思ったら、今度は風が強くなっている。 家の前の桜がほとんど裸になっている。 作業の方は現在第三篇『樹海の妖魔(仮)』の初校ゲラが出てくるのを待っている。 出てくるとまた大特急…