初校ゲラ

 ようやく、初校ゲラのチェックが一通り終わりました。


 こちらだけでは解決できない疑問点を整理して、
著者にメールします。
ふつうなら今日中には回答が来るでしょう。
それを踏まえて、ゲラを修正し、明日には発送。
なんとか週内に編集担当にもどせそうです。


 で、またすぐに再校が出るはず。
今度は白ゲラ、
つまり校閲編集のチェックが入っていない
まっさらのゲラをもう一度素読みしなければなりません。


 いつものことですが、
この辺になると同じ文章をもう何度目かに読むことになるので、
正直いささかうんざりしてきます。
原文を何度も読むのは少しも苦になりません。
アショーカの文章は読むのに快く、
これからなにが起きるか、
次に誰がなにを言うか、
すべてわかっていても、読めば面白い。


 しかし、自分の訳文を何度も読むのは苦痛です。
読めば読むほど、疑わしくなります。
ほんとうにこれでいいのか。
原文の文意をとり違えていないか。
文意は読みとれていても、
それを的確に日本語に表現できているか。
日本語としてリズミカルに読めるか。


 読むほどに訳文が
ふらつき、揺れていているように見えてきます。
いっそのこと、白紙にもどして、
全部最初からやり直してはどうだろう。


 などと、アホな考えまで湧いてきます。
そんな時間はもうありません。
できたとしても、
今のものより良くなる保証もありません。


 かくて、ゲラのチェックは一番嫌いな作業になってくるのです。