2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

わがラーマーヤナ:個人的遍歴

それでもなお、 様々に異なる版や変装の民主的ごたまぜの方が良いか。 それとも断片的にしか回復することのできない、 ほとんど忘れられた神話のように、 忘却され廃れてぼんやりと思い出されるだけの物語であった方が良いか。 ヴァールミーキの「オリジナル…

『ラーマーヤナ』が多すぎる

おばあさんが夜、 孫たちにこの物語を語りなおすとき、 ヴァールミーキの『ラーマーヤナ』を参考にしているだろうか。 羅刹の咆哮やラーヴァナの笑い声、 あるいはシーターの涙や ラーマのストイックなふるまいを再現するとき、 その演技は誰のものを元にし…

将来への予言

自作を完成して ヴァールミーキがまず気がついたのは、 できあがったものが不完全だということだった。 語る相手が誰もいなくては、 物語の良さは何になろう。 かれの時代の伝統では、 詩人は己の作品を自ら朗詠するのがふつうだった。 あるいは何らかの見返…

『ラーマーヤナ』を語りなおして・その1

これから掲げるのは、著者がインド版原書に付けた序文だ。 ざっと訳しただけで、きちんとした見直しも編集もしていないので、 訳のおかしなところも残っているが、ご容赦願いたい。 ここにはなぜ今新たな『ラーマーヤナ』の語りなおしをしたのかが、熱く述べ…

人事を尽くす

土曜日の毎日新聞朝刊のポプラ社の新刊広告の筆頭に『蒼の皇子』が出ている。 売行きに関してはまだ何も知らせはない。 が、出ました、売れました、という本ではないだろう。 『ラーマーヤナ』という名前は知られていても、 それだけで手に取る人はまだまだ…

統合されたヒーロー

『ラーマーヤナ』のヒーロー、ラーマは 品行方正、学業優秀、眉目秀麗 を絵に描いたような存在ではある。 普通だったら、絶対に面白くも何ともないヒーローになるはずだ。 一応主人公ではあるが、個性的な脇役に食われて、ただひたすら右往左往する。 ヒロイ…

「プロローグ」と第1部第1章の落差

本になったものをチェックするため、毎日すこしずつ読む。 一度にたくさん読むと、ストーリーに引きこまれて、チェックにならない。 そうしてあらためて気がついたこと。 第1部第1章を活かすため、 「プロローグ」はことさらにぶっきらぼうに書かれている…

KING OF AYODHYA

アマゾン・ジャパンに予約していた新世紀版『ラーマーヤナ』最終巻 KING OF AYODHYA 着。"Glossary" 15頁含めて501頁。 各部のタイトルは Kaand 1: The Left Hand of Darkness アーシュラ・K・ル・グィン『闇の左手』 Kaand 2: Isle of the Dead ロジャー・…

アマゾン・ジャパンに掲載

bk1と楽天ブックスではずいぶん前から予約ができるようになっていたが、アマゾン・ジャパンのサイトに今日になってようやく掲載された。が、表紙はまだなし。 「ラーマーヤナ」「蒼の皇子」、どちらで検索しても出てくる。ただし、今日現在はまだ「近日発…

最も古い物語の新鮮さ

新世紀版『ラーマーヤナ』は新鮮だ。「定型」からはずれているからだ。しかも「原型」になっている。 『ハリポタ』以来のファンタジィ・ブームで紹介されているのはどれも、ケルト系、キリスト教系の世界観をベースにした作品だ。ウィリアム・モリスに始まり…

正義と悪

下巻のカヴァーも掲げておく。スキャナで取りこむと、枠とタイトル脇の飾りの金箔押しは黒くなってしまった。 上巻巻頭には著者の「謝辞」、下巻巻末にはやはり著者による「あとがき」がある。 この「あとがき」はなかなかに深い。この新たな『ラーマーヤナ…

『蒼の皇子』見本

今月17日発売の『蒼の皇子:ラーマーヤナ』上・下の見本が届く。表紙のデザインの外枠とタイトル両脇の飾りが金箔押し。スキャナで取りこんでみたが、ウエブ上では見えない。 表紙の上巻が青ベース、下巻が緑ベースはそれぞれの色がラーマとラーヴァナを象徴…

男と女

最終巻 KING OF AYODHYA が Amazon UK で発売になっている。アマゾン・ジャパンではまだ予約状態。ページ数が日本サイトでは544頁、英国サイトでは512頁になっているのはなんだろう。多分英国のほうが正しいのだろうが。いずれにしてもシリーズ最大の分量で…