「プロローグ」と第1部第1章の落差

 本になったものをチェックするため、毎日すこしずつ読む。
一度にたくさん読むと、ストーリーに引きこまれて、チェックにならない。


 そうしてあらためて気がついたこと。
第1部第1章を活かすため、
「プロローグ」はことさらにぶっきらぼうに書かれている。
とくに冒頭の2章の、阿修羅軍によるアヨーディヤー劫掠のシーンは、
ことさら残酷さを強調している。


 いや、強調しているというのは適切ではない。
衝撃をやわらげる配慮をしていない、というべきだろう。
思わず眼をそむけたくなる光景が、
無造作にほうり出されているのだ。


 続く3章も、はじめの2章の緊張感をうけついでいる。
マンタラーの章は、別の意味でおそろしい。


 で、第1部第1章からが、一転、ゆるやかに、そろそろと新たに流れだす。


 この呼吸。


 そうすると、その後がなめらかに、すいすいと動いてゆく。
 やがてまた徐々に緊張が高まってゆくが、それもはじめは気がつかないほどだ。