KING OF AYODHYA 英国版発売

 21世紀版『ラーマーヤナ』最終巻 KING OF AYODHYA の英国版 (Orbit/ Time Warner) が明日、6月1日付で発売になる。


 ちなみに著者が「決定版」としているインド版 (Penguin India) は9月発売。インド版は原則インド国内での発売で、それ以外の全世界は英国版が共通。


 日本語版は……まだ先であります(^_-)。すべてが順調にいけば来年中に出せるか。


 英国版とインド版では若干内容に違いがある(例えば第4部 ARMIES OF HANUMAN のラスト)が、第5部 BRIDGE OF RAMA とこの KING OF AYODHYA ではほとんど違いは無いようだ。

 その他の違いはインド版では各巻に著者の「まえがき」がついている。著者にとっての『ラーマーヤナ』、そしてなぜ今この21世紀版「語直し」を書いたか、を語ったもの。

 インドの人びとにとって『ラーマーヤナ』は単なるお話、神話というだけではない。誰にとっても自分なりの『ラーマーヤナ』像があり、中には『聖書』や『コーラン』に匹敵する聖典と信じている人もいる。そういう作品であるから、ひと言断わる必要があった。

 一方でこの「まえがき」はインド人以外の読者にとっても示唆に富むものではある。後日、日本語版刊行後、このブログか、版元のサイトで読めるようにしたい。

 もう一つの違いは英国版には各巻の巻末に「用語集」がついている。著者によれば、本文中で使われているサンスクリットヒンドゥー語の言葉は、かなり自由な、独自の使い方をしているし、インド人以外の読者にとってはなじみの薄いものでもある。そうした言葉の簡単な説明を集めたもの。

 なお、日本語版はすべてインド版を原本にしている。同時に、英国版の「用語集」も巻末に付けている。


 KoA の中身はと言えば、これはもうラーマとラーヴァナとの最終決戦、であります。ラーヴァナの指令を受けた海神ヴァルーナの攻撃をくぐり抜け、ヴァナール(猿)と熊の軍を率いたラーマがランカーに乗りこみ、ラーヴァナやその弟、息子、そして羅刹の軍と壮絶な戦いを繰広げる。はず。

 もちろん最後にはラーマが勝利をおさめ、アヨーディヤーに凱旋してコーサラ王位に就くわけですが、先がどうなるか全部わかっていても読みながらわくわくドキドキしながらしてしまうのが、やはりこの作品の凄いところ。

 そして最後まで読むとまたすぐ始めから読みなおしたくなる。いや、もちろんまだ最後まで読んではいない。いないが、きっとそうなるのはわかる。


 というわけで、はるか昔に予約注文した英国版が届くのを、胸ときめかせて待っているところである。