「違法」投稿の宣伝効果

 ネット上でフリーで公開されたことが、作品のパブリシティになり、
商品の実売にもつながったという実例
角川グループの幹部から出ている。


 こうした投稿が「違法」になるのは、
著作権者が認めていないからで、
たとえばクリエイティヴ・コモンズなどのライセンスで認めていれば
「合法」になる。


 YouTube でも満足できる人はいるわけだし、
またそこで満足するしかない人もいる。
しかし、その人たちがずっとそのままでいるともかぎらない。
はじめは満足できても、だんだん満足できなくなり、
結局高品質を求めてパッケージなり、公式リリースなりを求めるようになる
可能性はある。
その可能性が生まれるのも、まずフリーで「作品」にアクセスできるからだ。


 「音楽業界史上最大の失敗は『Napsterを潰したこと
というのも、根っこは同じだろう。
もっとも、音楽業界
あるいはメジャー・レーベルの存在自体が
音楽そのものやそれを支えている文化とその将来にとって
有益かどうかということはまた別の話だ。


 ネット上でフリーで公開することがパブリシティになるには
作品そのものの質が高いことが前提になる
ことは言えるかもしれない。
少なくとも、
凡庸な、最大多数向けの作品をカネと労力をつぎこんだ宣伝で
メガ・ヒットに化けさせるブロックバスター手法とは対極的な手法になる。
カネと労力をつぎこむのは宣伝ではなく、
作品そのものの質を高めるためになるわけだ。
ここで鍵を握るのは、その「質」の内実を判断する能力になる。
凡庸ではなく、しかも多数の人間に訴える魅力とは何か。


 『らき☆すた』『ハルヒ』は海外からの注文が半端な数ではなかったそうだ。
海外向けの商品は用意されてなかったようだから、
日本語がわからない人間も相当数買っているのだろう。
作品、特にヴィジュアル作品の「質」には言語は含まれないということか。
ここに予告編が公開されたものはどうだろう。
純インド産アニメである。
なおこれは「違法」投稿ではない、念のため。